空調制御システムは、建物のエネルギーコスト削減と快適な室内環境の維持を実現する重要なソリューションです。自動制御による電気代の削減から遠隔管理まで、多くの機能を備えており、ビルや工場、商業施設といった大規な建物から、学校やホテル、店舗といったさまざまな規模・業種の建物で活躍しています。
本記事では、空調制御システムの基本概念からメリット、選び方まで、導入を検討する際に必要な情報を詳しく解説します。
空調制御システムとは?
空調制御システムとは、空調の運転を制御・管理するためのシステムです。搭載されている機能はシステムによって異なりますが、主に以下のようなことが可能になります。
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できること |
詳細 |
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運転の自動調整 |
あらかじめ設定した温度やスケジュール、AI学習などに基づいて空調を自動制御します。人手をかけずに効率的な運転を実現します。 |
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空調の消費電力量の可視化 |
月別や時間帯別に空調の消費電力量を確認できます。データに基づいた省エネ対策を講じることが可能です。 |
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遠隔管理 |
離れた場所からPCやタブレット、スマートフォンで空調の稼働状況を確認したり、設定を変更したりできます。効率的な省エネ運用を実現します。 |
空調制御システムはビルや工場、商業施設、店舗など、あらゆる建物で導入されており、エネルギーコストの削減や効率的な運用に役立てられています。
また、近年ではAIを活用した空調制御システムも登場しています。例えば、空調設定や時刻、外気温といった要素をAI自動学習し、空調運転の制御・管理に活用するシステムもあります。
空調制御システムの仕組み
一般的な空調制御システムは、空調設備や室内に設置されたセンサーと、制御装置によって成り立っています。
センサーが室内の温度データを取得し、その情報を制御装置に送信します。制御装置は取得したデータをもとに空調の運転を自動でコントロールする仕組みです。
パナソニックが提供する「Panasonic HVAC CLOUD」は、空調機本体に内蔵されたセンサーが収集した情報をインターネット経由でクラウドサーバーに送信し、サーバーから運転制御を行います。
空調制御システムを導入するメリット
空調制御システムを導入する主なメリットとして、以下の4点を紹介します。
- さまざまなコストを削減できる
- 快適性と省エネを両立できる
- 環境問題に取り組める
- 既存の空調設備を活かせる
それぞれ見ていきましょう。
さまざまなコストを削減できる
空調制御システムを導入する最大のメリットの一つは、さまざまなコストを削減できる点です。
- 「電気代」の削減
システムによって常に最適な運転を行うため、手動操作のように必要以上に冷やしたり暖めたりすることがありません。
空調は建物全体のエネルギー使用量の中で最も大きな割合を占める設備であるため、電気代の削減効果も大きくなります。
また、空調の消費電力量をグラフで可視化することで、営業時間後の切忘れに気づけたり、店舗ごとの運用の差を把握できたりし、省エネ・電気代の削減に寄与します。
- 「運用コスト」の削減
管理者が現場を巡回して温度のチェックや設定の変更を行う従来の方法では、時間も人手もかかってしまいます。
空調制御システムを導入すれば、PCやタブレット、スマートフォンから遠隔で運転状況を確認したり、温度設定を変更したりできるため、現場に出向く必要がありません。
これにより、人的コストを抑えられます。 - 「修理や交換費用」の削減
空調機本体のエラーコードを通知する機能により、不具合を見逃しません。
運転が突然停止してしまうような深刻なトラブルに発展する前に対応が可能となり、修理費の増大や交換費用の発生を防ぐことができるでしょう。
快適性と省エネを両立できる
これまでの空調管理は、管理者の経験や人それぞれの暑さ・寒さの感覚に頼ることが多く、省エネを図りながら快適性を維持することは容易ではありませんでした。
過度に省エネを意識すれば室内環境が不快になり、逆に快適性を優先すればエネルギーを無駄に消費してしまいます。また、衣類の着脱で体感温度を調整し、空調は終日同じ設定で運転してしまうケースも少なくありません。
例えば、寒い朝方に暖房の温度を上げて体を温め、日中は上着を脱いで調整するといった場合、本来であれば日中に設定温度を下げたほうが省エネになります。しかし手動での管理では、こうした柔軟な調整を継続的に行うのは困難です。
こうした課題を解決するには、時間帯や室内環境などの要素をAIで学習し、自動で最適な温度管理ができる空調制御システムを導入するのがおすすめです。AIによって常に最適な温度で自動運転ができれば、手動での管理に頼らず快適性を維持しながら効率的に省エネを実現できます。
環境問題に取り組める
空調制御システムの導入は、エネルギーコストだけでなく、CO₂排出量の削減にもつながります。なぜなら、電気は発電の過程でCO₂を排出することが多く、これが地球温暖化の主要な原因となっているためです。
とくに空調は、建物全体のエネルギー使用量の中で最も大きな割合を占める設備です。したがって、空調制御システムによって無駄な電力消費を抑えることは、CO₂の削減、それに伴う環境問題への取り組みにつながるのです。
こうした取り組みは、建物や企業の社会的価値向上にも貢献します。
既存の空調設備を活かせる
空調制御システムのなかには、既存の空調設備に後付けできるシステムもあります。後付けが容易なシステムを選ぶことで、大規模な改修や高額な初期投資を避けつつ、省エネ効果を得ることが可能です。
空調制御システムを選ぶポイント
空調制御システムの導入を検討する際には、自社のニーズに合ったシステムを選択することが重要です。
ここでは、システム選択時に確認すべき3つのポイントについて、詳しく説明していきます。
お使いの空調設備に対応しているか
既存の空調設備を活用する場合は、導入予定のシステムが、お使いの空調設備に適合しているかを事前に確認しておきましょう。システムによって、個別空調のみ対応していたり、特定のメーカーや型式に限定されていたりすることが一般的です。
求める機能が搭載されているか
空調制御システムは、搭載されている機能に差があります。
空調の消費電力量を可視化する機能はほとんどのシステムに備わっていますが、AI学習を用いた自動制御機能や、デマンド制御、遠隔操作などの可否は、システムごとに異なります。自社の運用目的や省エネ目標に応じて、必要な機能が含まれているかを事前に確認しましょう。
例えば、「複数・多拠点の空調設備の管理に手間がかかっている」という課題がある場合、遠隔操作機能が搭載されているシステムを活用すれば、効率的な運用が可能です。
無理なく運用できるか
費用面と運用面の両方で無理なく運用できるかどうかも大切な観点です。予算に見合わないシステムは、導入後に負担が大きくなり、運用が継続できなくなる可能性があります。
また、導入後のサポート体制が整っているかも重要です。操作方法が不明な場合や、トラブルが発生した際に迅速に対応できる体制が整っていれば、安心して利用できるでしょう。
コスト対効果が見込めるか
システムの導入・利用には初期費用や月額費用といったコストが発生します。しかし、高度な省エネ機能を持つシステムであれば、削減できた電気代によってトータルのコストを下げることができます。
導入にかかる費用だけで判断せず、「省エネ効果によりシステム費用を回収し、実質的な利益を生み出せるか」という投資対効果(ROI)の視点でシミュレーションを行うことが重要です。
詳細は次項でご紹介しますが、パナソニックが提供する「Panasonic HVAC CLOUD」は、AIが空調の設定温度を自動で最適化することで、快適性を損なわずに省エネ運転を実現します。空調消費電力量の削減に寄与することで、高いコスト対効果を発揮します。
パナソニックの空調制御システム「Panasonic HVAC CLOUD」
パナソニックでは、空調の省エネと快適性の両立を実現する「Panasonic HVAC CLOUD」を提供しています。
ここまでご紹介した空調制御システムの仕組みやメリットを踏まえ、本システムにはどのような機能があり、どのように導入できるのか、具体的に紹介します。
できること
『Panasonic HVAC CLOUD』を導入いただくことで、以下のようなことができるようになります。
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大項目 |
中項目 |
小項目 |
機能概要 |
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遠隔管理アプリ |
物件管理 |
物件一覧表示 |
お客様が管理している本サービス導入物件の一覧表示 |
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リモコン設定 |
設定変更 |
運転ON/OFF、運転モード、風量/風向、設定温度の設定変更 |
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設定状態表示 |
運転ON/OFF、運転モード、風量/風向、設定温度の設定状態表示 |
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省エネ設定(e-CUT機能) |
切り忘れ防止設定 |
空調機を切り忘れた場合でも設定時間帯に自動的に空調機を停止する |
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設定温度自動リターン |
設定温度を変更しても、一定時間後に決められた設定温度に戻す |
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スケジュール設定 |
ウィークリータイマー |
曜日単位で30分毎に運転設定が可能 →運転ON/OFF、運転モード、設定温度の設定変更 |
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消費電力可視化 |
消費電力推移表示 |
月別の消費電力量と外気温度傾向をグラフ表示 |
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設定温度可視化 |
設定温度ムダ表示 |
時間別の設定温度分布をグラフ表示 |
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警報通知 |
警報メール通知 |
空調機から発報された警報コード・名称をお客様メールへ通知 |
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警報一覧表示 |
空調機から発報された警報コード・名称を一覧画面表示 |
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省エネマネジメントサービス |
省エネコントロール |
設定温度自動制御 |
AIによりユーザーリモコン操作を学習し、設定温度を自動制御 |
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省エネ効果レポート通知 |
月次・シーズン・年次のAI省エネ効果を自動レポート発行 |
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冷媒漏えい診断サービス |
冷媒漏えい診断 |
簡易点検 |
フロン排出抑制法の簡易点検を代替する遠隔診断 |
※冷媒漏えい診断サービス:将来提供開始予定
最大の特徴は、AIによる運転制御で快適性と省エネ性を両立する業界初(※1)の機能です。AIが「施設情報」「気象情報」「時刻情報」「リモコン操作」等の情報を学習し、外気温や時刻の変化に合わせて設定温度を自動で調整します。
検証では、従来の人による管理と比べて、空調消費電力量を約20%削減することに成功しました(※2)。また、複数・多拠点の空調も、任意のPCから一括管理が可能です。不具合発生時には管理者へ通知を送ることができ、迅速な対応を可能にします。
※1. 2023年2月時点 空調業界当社調べ。
※2. 1年間、関東地方の2つの異なる物販店舗(約1,000㎡)の施設で検証。「設定温度自動リターン」機能(一定時間で指定した温度設定に戻る機能)との比較。
対象の空調設備・工事・費用
「Panasonic HVAC CLOUD」は、求める機能に応じて2つの導入方法をご用意しており、それぞれ対象の空調設備、必要な施工、費用が異なります。
WLANアダプターとLTEルーターを設置する方法は、配線工事が不要なため、短時間で設置が完了します。そのため、既設の空調設備への後付けも容易に行うことができます。
料金体系は「初期費用」+「月額利用料」で、月額利用料はWLANアダプター1台あたり1,000円と、ご継続しやすい価格設定です。WLANアダプターは、リモコングループ1系統に対し1台設置します。
また、HVACクラウドアダプターを活用した設置方法は配線工事が必要になりますが、より多彩な機能をご利用いただけます。
詳しい費用や最適な導入方法については、お気軽にお問い合わせください。
導入の流れ
「Panasonic HVAC CLOUD」を導入いただく際の流れは以下のとおりです。
- お問い合わせ
- 試算・ご提案
- 利用申込・ご契約
- 機器設置
ご利用にあたっては、事前に導入効果の試算が可能です。必要に応じて現地調査も実施いたしますので、安心して導入をご検討いただけます。
導入後は、省エネ効果のレポート提出や電話でのサポート対応をはじめ、空調に限らない建物管理に関する最適なシステム導入のご提案まで、継続的に支援いたします。
まとめ
空調制御システムは、建物のエネルギーコスト削減と快適な室内環境の実現を両立させるために不可欠なソリューションです。
電気代や運用コストの削減、修理費用の削減、環境問題への対応など、多くのメリットがあります。システム選択時には、対応設備の確認、必要機能の搭載、導入コストの費用対効果、サポート体制の整備といったポイントを慎重に検討しましょう。
「Panasonic HVAC CLOUD」は複数拠点の一括管理 が可能な上、AIによる設定温度の最適化で約20%の消費電力量削減を実現します。省施工なシステムのため、比較的安価に導入でき、既存設備への設置も容易に行えます。また、導入後のサポート体制も万全です。
省エネと快適性の両立を実現し、建物全体の運用効率を高めるなら、空調制御システムの導入をぜひご検討ください。