遠隔監視とは、離れた場所にある設備や環境を人に代わって見守るシステムです。建物全体の稼働状況をリアルタイムで把握できるため、人材不足や人件費の高騰といった経営課題の解決に役立ちます。
これまでは導入コストや運用体制の構築といった課題から、大規模施設を中心に導入されてきましたが、近年では小中規模の建物でも導入しやすい製品が増えています。
本記事では、遠隔監視システムの概要から、活用事例、導入メリット、実装時のポイントなどを解説します。
遠隔監視とは?5つの活用事例
遠隔監視とは、離れた場所にある設備や環境を見守るシステムのことです。監視対象となる設備や環境の周辺にセンサーやカメラなどを設置し、ネットワークを介してデータを送受信することで、現地に行かなくても稼働状況や異常を把握できます。
ここでは、遠隔監視の活用事例を5つ集めました。
- 建物や設備のエネルギー管理
- 設備の異常検知
- セキュリティ管理
- リモート農業
- 災害予測・対応
一つずつ見ていきましょう。
【事例1】建物や設備のエネルギー管理

電気代の高騰や環境問題への対応が重要視される現代において、企業にも省エネ化が求められています。省エネ化を進めるにあたっては、まずは現状を正確に把握することが欠かせません。しかし従来は、電気代の請求書に記載された1ヶ月ごとの建物全体の使用量しか確認できず、詳細な分析は困難でした。
遠隔監視システムを活用すると、建物全体だけでなく、部屋や設備ごとに消費状況を一目で把握できます。これにより、データに基づいた効果的な省エネ対策が可能です。また、消費状況をリアルタイムで確認できることで、デマンド値(※)の管理も行いやすくなります。
※デマンド値とは30分間の平均使用電力を意味する指標で、高圧電力の需要家の電気代に影響します。
【事例2】設備の異常検知

設備の異常は従来、定期的な点検や、設備の運転停止といったトラブルの発生をきっかけに発見されるケースが一般的でした。しかし、突発的に異常が発生すると、発生箇所や原因を特定する作業に時間がかかり、対応に遅れが生じかねません。
遠隔監視システムを活用すると、設備の状態を常時監視し、どの場所でどのような異常が発生しているかをリアルタイムで通知してくれるため、素早い対応が可能になります。
【事例3】セキュリティ管理

従来の巡回警備では、人的コストや時間がかかるだけでなく、建物全体の状況を一度に把握することは困難でした。遠隔監視に対応したカメラを設置することで、現場に出向かずとも広範囲の状況を効率的に監視できるようになります。
さらに、動体検知や侵入センサーを併用することで、異常事態を自動で検知して通知するため、常にカメラを監視していなくても迅速な対応が可能です。
【事例4】リモート農業
遠隔監視システムは農業分野でも導入が進んでおり、温室や畑に設置したセンサーやカメラを通じて、温度・湿度・CO2濃度などのデータをリアルタイムで把握できます。
従来は農家が現地に足を運んで確認する必要がありましたが、遠隔監視を活用することで、離れた場所からでも生育状況をチェックできるようになりました。
さらに、自動制御機能を備えたシステムであれば、作物の状態に応じて水や肥料を自動で供給したり、ハウスを換気したりすることも可能です。
【事例5】災害予測・対応
遠隔監視に対応したカメラを活用すれば、豪雨時にダムやため池、河川の状況を現地に出向かずに確認できるため、作業員の安全を確保しながら迅速な対応が可能です。さらに土壌センサーを設置し、土中の水分量や浸透量を監視することで、土砂災害の危険性を予測する取り組みも進んでいます。
これにより、土砂災害によって孤立する前に避難勧告や避難指示を発令でき、住民の安全を守ることにつながっています。
遠隔監視システムを導入するメリット
遠隔監視システムの導入は、単なるコスト削減だけにとどまりません。以下では、遠隔監視システムを導入することで得られる3つの主要なメリットを見ていきましょう。
- 人員・時間・コストを削減できる
- 異常の早期発見・迅速な対応ができる
- 作業員の安全を守れる
それぞれ解説します。
人員・時間・コストを削減できる
遠隔監視を導入することで、現場に出向かずに状態を確認できるため、人員・時間・コストの削減が可能です。
複数拠点を管理する際、従来は作業員が巡回したり、各拠点に作業員を一人ずつ配置したりする必要がありました。遠隔監視を導入すればPCやタブレットなどで一元管理できるため、最小限の人員でも効率的な管理を実現できます。
異常の早期発見・迅速な対応ができる
遠隔監視を導入すれば、映像やセンサーの通知機能によって異常を早期に発見でき、迅速な対応が可能になります。
従来のように定期点検に頼る運用では、次回点検までのあいだに異常を見逃すリスクがありました。遠隔監視なら24時間365日の常時監視でこのタイムラグを解消できます。
さらに、異常を自動検知して通知するシステムであれば、管理者は状況を即座に把握し、必要な措置をとれます。また、監視データを蓄積・分析することで異常の兆候を事前に察知でき、予知保全にもつながるでしょう。
こうした迅速かつ継続的な監視体制により、設備の故障防止や修理・交換コストの削減、業務停止リスクの低減が期待できます。
作業員の安全を守れる
遠隔監視を導入することは、作業員の安全を守ることにもつながります。例えば、転落の危険がある高所や、夏の暑さが厳しい時期の点検・作業を現場で行う必要がなくなり、事故や体調不良のリスクを大幅に低減できるようになります。
遠隔監視システム導入時のポイント
遠隔監視システムの導入を検討する際には、いくつか重要なポイントがあります。以下では、導入を成功させるために押さえておくべき2つのポイントについて、詳しく解説します。
目的から監視対象を考える
すべての設備を遠隔監視すると莫大なコストがかかるため、目的に沿った優先順位を付けたうえで、監視対象を決めていく必要があります。
例えばエネルギーコストの削減が目的であれば、建物全体の消費電力の約半分を占める空調設備を監視対象とするのが効果的です。
限られた予算の中で最大の効果を生み出すには、まず経営課題を明確にし、その解決につながる設備から段階的に導入することをおすすめします。
セキュリティ対策を行う
また、技術面を強化しても、パスワードの使いまわしやアクセス権限の管理不備といった人的ミスにより情報漏えいや不正操作が発生する可能性もあります。したがって、強固なパスワードの設定、ログイン可能なユーザーの最小化、IP制限によるログイン制限など、運用面での対策も重要です。
遠隔監視で空調を管理するPanasonic HVAC CLOUD
パナソニックが提供する「Panasonic HVAC CLOUD」は、空調の管理・省エネの課題に貢献するクラウドサービスです。PC上から複数・多拠点の空調設備を一括管理でき、設定状態の確認や変更、消費電力のグラフ表示などの機能を備えています。
異常発生時には、該当の空調や異常内容を管理者へ自動通知するため、現地に出向かずに迅速な対応が可能です。

また、人により一括管理する機能だけでなく、AIが各拠点の環境やリモコン操作のデータを学習し、自動で最適な設定温度に調整する「AI省エネコントロール機能」を搭載しています。
人による過度な温度操作を抑え、拠点や利用者に応じた最適な温度に自動調整することで、快適性を維持しながら空調の消費電力を削減できます。

まとめ
遠隔監視システムは、現代のビジネス環境において不可欠なソリューションへと進化を遂げました。エネルギー管理から設備異常検知、セキュリティ管理、さらには農業や災害対応まで、さまざまな分野での活用が広がっており、人員・時間・コストの削減、異常の早期発見、作業員の安全確保といった多くのメリットをもたらします。
しかし導入を成功させるには、目的の明確化とセキュリティ対策の徹底が欠かせません。「Panasonic HVAC CLOUD」は、これらのポイントをすべて満たしながら、空調管理と省エネ化を効率的に実現できるソリューションです。
今こそ、遠隔監視システムの導入で、経営効率化と業務品質向上の両立を目指してみてはいかがでしょうか。