無電圧接点とは、外部から電圧を加えずにオン・オフのみを行う接点方式のことです。
設備の制御回路を設計する際には、有電圧接点との違いを正しく理解しておくことが欠かせません。どちらの方式を選ぶかによって機器の動作や安全性が大きく左右されるためです。
本記事では、無電圧接点の仕組みや、有電圧接点との違い、具体的な使い分けの基準などについて、わかりやすく解説します。
無電圧接点とは
「無電圧接点(ドライ接点)」とは、接点自体が電源を持たず、外部電源によって導通・非導通を制御する接点方式です。
スイッチやリレー、電磁接触器のように電源とは独立しており、出力側は接点のオンによって導通・非導通を決定するだけの役割を担っています。つまり、接点がオンになっても電源は供給されないため、接続先の負荷側で電源を持つ必要があるのです。
無電圧接点は信号の伝達に特化した方式であり、電圧の影響を受けにくいことから、異なるメーカーの機器同士を接続する場面でも広く活用されています。
ここでは、対になる有電圧接点の特徴と両者の違いについて見ていきましょう。
有電圧接点とは
無電圧接点とは反対に、接点のオンによって接点部分に電圧がかかる接点を「有電圧接点(ウェット接点)」といいます。
有電圧接点は電源を持っているため、出力側は接点のオンによって電源の供給が可能です。これにより、接続先の機器が個別の電源を備えていなくても、接点側からの供給のみで動作します。
配線がシンプルになるという利点がある一方で、接続先の機器の電圧仕様に合わせる必要がある点には注意が必要です。
無電圧接点と有電圧接点の違い
無電圧接点と有電圧接点の大きな違いは、「接点のオンによって電圧が与えられるかどうか」という点にあります。
無電圧接点における接点のオンオフは信号のみを与えるのに対し、有電圧接点は信号とともに電圧も与える仕組みです。
例えば、設備の異常を検知して警報ランプが光る仕組みを導入した場合を考えてみましょう。無電圧接点では「設備に異常が発生した」という情報だけをランプに伝え、実際にランプを点灯させる電源はランプ側に依存します。
接点のオンで電圧がかかるものが「有電圧」、かからないものが「無電圧」と考えると、違いを整理しやすいでしょう。
無電圧接点と有電圧接点の選択が必要な理由
無電圧接点と有電圧接点は、どちらか一方が優れているというものではありません。接続する機器や回路の構成に応じた、適切な選択が必要です。選択を誤ると、機器が正常に動作しなかったり、故障や事故の原因になったりする可能性もあります。
ここでは、選択が必要となる2つの主な理由を解説します。
機器により電源の有無が異なるため
制御回路にはさまざまな機器が組み込まれています。
制御盤のように電源を備えた機器もあれば、スイッチやモーターのように電源を持たない機器も少なくありません。接続先が自ら電源を供給できない構成の場合、有電圧接点が適するケースもあります。
反対に、接続先の機器が自前の電源を持っている場合は、無電圧接点で信号だけを伝える方式が適しています。
このように、接続先の機器が電源を持っているかどうかによって適切な方式を選ぶ必要があるため、使い分けを正しく行わなければシステム全体が正常に機能しないのです。
電圧差による故障や誤作動を防ぐため
無電圧接点と有電圧接点のいずれかを選択しなければならないもう一つの理由は、「機器によって電圧が異なるため」です。
たとえば、2つの機器を連携させる際に有電圧接点を選択した場合、接続先の機器が100V仕様であるにもかかわらず、出力側が200Vを印加すると、過電圧によって誤作動や故障を引き起こす恐れがあります。
無電圧接点は出力側に電圧を持たないため、電圧仕様の違いによる影響を受けにくいという特徴があります。ただし、接点には定格電圧・電流があるため、仕様の確認は不可欠です。
このように、接点方式の選択においては以下のような点を検討する必要があります。
- 無電圧接点と有電圧接点を選択しなければならない理由
- どういった場合に無電圧接点と有電圧接点を使い分けるのか
- 有電圧接点を選択するメリットはあるのか
など
無電圧接点か有電圧接点かの選択は入念に
無電圧接点と有電圧接点の選択は、機器の正常な稼働を左右する重要な判断です。誤った選択をしてしまうと、機器の誤作動や故障につながる恐れがあり、最悪の場合は安全上のリスクを招きかねません。
そのため、設計段階から設計者や施工業者などの関係者間で入念に打ち合わせを行い、接続する機器の仕様や電源の有無を十分に確認したうえで接点方式を決定することが大切です。特に、異なるメーカーの機器を組み合わせる場合は、各機器の仕様書を照合しながら慎重に検討しましょう。
まとめ
無電圧接点は接点部分に電圧がかからない方式で、信号の伝達のみを行います。一方、有電圧接点は、接点のオンによって電圧も供給する方式です。
どちらを選択するかは、接続する機器の電源の有無や、電圧差による故障・誤作動のリスクなどから、慎重に判断する必要があります。設計段階での十分な確認と関係者間の打ち合わせが、システムの安定稼働を支える基盤となるでしょう。
