計装記号や複雑な計装図は、見慣れるまでに時間がかかるものです。しかし、現場でよく使われる標準的な記号や図面の種類をあらかじめ把握しておくことで、読み解きのスピードは大幅に向上します。
本記事では、計装図面に頻出する記号を一覧で整理したうえで、システム構成図や計装配線系統図、展開接続図、ラダー図など、図面の種類ごとの役割と特徴を解説します。
記号と図面の両方を体系的に理解することで、設計・施工・保守のあらゆる場面での業務効率が格段に上がるでしょう。
\主な計装記号がひと目でわかる!/
計装図面によく使われる記号一覧
計装図面に使われる記号は、複雑なシステムを誰もが共通の認識で理解できるよう標準化されており、計装エンジニアはこれらを組み合わせることで「自動制御の仕組み」を設計します。
これらの記号は計装図面だけで使われるものではなく、製造・電気・工作(動機器・静機器など)といった幅広い領域でも活用されます。
ここでは、現場で特に頻出する記号を中心に、変量記号・機能記号の概念から具体的な記号一覧まで順を追ってご紹介します。
変量記号・機能記号
計装記号、とりわけ円の中にアルファベットが書かれた「バルーン記号」は、「何(対象)」を「どうする(機能)」かという2つの要素の組み合わせで構成されています。この2つを体系的に整理したのが、変量記号と機能記号です。

変量記号は、その計器が「何を測定・監視しているか」を表すもので、アルファベットの1文字目に配置されます。たとえば、F(Flow=流量)、L(Level=界面)、P(Pressure=圧力)、T(Temperature=温度)といった形です。
一方、機能記号は、その計器が「どんな役割を果たしているか」を表すもので、アルファベットの2文字目以降に配置されます。A(Alarm=警報)、C(Controller=制御)、H(Hand=手動操作)、I(Indicator=指示)などがあります。
たとえば、「PIC」であれば「圧力(P)を指示(I)・制御(C)する機器」という意味です。変量記号と機能記号の組み合わせを理解しておくと、初めて見る記号でも意味を推測しやすくなります。
記号一覧
計装図面で頻出する記号を、計器・バルブ・ポンプなどのカテゴリ別に整理した一覧は以下の通りです。現場での確認や図面読み取りの際に、ぜひ参考にしてください。
インジケーター、圧力計、温度計、流量計、制御弁といった頻出記号を中心に、各記号の名称と意味を確認できます。







また、上記の一覧表に掲載しきれないその他の計装図面記号については、以下のダウンロード資料にまとめています。図面上で記号や名称に迷ったときにお役立てください。
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計装図面の種類
計装図面にはさまざまな種類があり、それぞれが担う役割と記載内容は大きく異なります。
代表的なものに以下の5種類の計装図面があります。
- システム構成図
- 計装配線系統図
- 計装配線平面図
- 展開接続図
- ラダー図
設計段階から施工・保守に至る各ステップで適切な図面を使いこなすには、それぞれの目的と見方を正しく理解することが欠かせません。以下では、各図面の特徴を具体的な例を交えながら解説します。
システム構成図
システム構成図とは、計装システムを形づくる各機器(検出・信号変換・制御・監視表示・操作など)の役割とつながりを、単線表現で全体的に把握できるよう整理した図面です。
以下の例では、空調・換気設備と空調用主幹盤を含む計装・制御の全体構成を示しています。温度計(温度センサ)→TIC(温調コントローラ)を中心に、ゾーンごとの給気ファン(SF)・排気ファン(EF)を含む「換気設備」と、空調機(室内外機)側のRCユニットとの接続関係が表現されています。
また、電気室と屋外の配置も図中に示されており、機器の設置環境を含めた全体像を一枚で把握できる点が特徴です。

計装配線系統図
計装配線系統図は、計装ループごとの信号と配線のつながりを整理する図面で、「計装ループ図」とも呼ばれます。
制御機能に関わる重要な回路を簡略化して示すものであり、現場機器から中央監視・制御装置までを含んだ構成を1ページ内でまとめて把握できる点が特徴です。
アナログ信号や接点入出力など、関連する信号の流れを可視化することで、改造工事や保守保全、障害原因の調査といった場面でも欠かせない資料となります。
以下の例では、屋内外の機器と盤(空調用主幹盤)との動力・信号配線の系統が示されています。盤の端子台の「R・S・T」に接続されている配線が動力用、「A・B・B'」に接続されている配線が信号用として区別されており、系統ごとの役割がひと目で判別できます。

計装配線平面図
計装配線平面図は、機器や盤の配置を平面上で確認しながら、相互をつなぐ配管・配線の内容を図記号で整理できる図面です。1:50・1:100・1:200などの縮尺で作成され、現場での配線ルートや接続先を把握する際の基本資料となります。
以下の例は、電気室および屋外の空調設備の機器配置に対する動力・信号配線の平面ルートを示した図面です。主な配線対象はエアコン室内外機・給排気ファン・室内温度センサで、ケーブルの布設経路・盤への引込位置・屋内と屋外の貫通位置が平面上に明記されています。

展開接続図
展開接続図(シーケンス図)は、装置や機器の動作を理解するために、物理的な位置関係に左右されず、機能を軸に電気接続を展開して図記号で示す回路図です。
「シーケンス回路図」とも呼ばれ、電気関連の点検・修理・改善・故障調査において、動作の順序と接続先を把握する際に広く用いられます。接続線は原則として縦方向で表記され、上下方向の回路が多いものを「縦書き」、左右方向が多いものを「横書き」と呼び分けます。
以下の例は、1枚目に3相電源から各負荷(モータ等)へ給電する電源配電部が記載されており、2枚目にはそれらを監視・制御する低圧制御(PLC/補助リレー)部が示されている図面です。
1枚目の下段には負荷一覧(名称・容量・合計)が記載され、左側が空調設備(エアコン室内外機)、右側が換気設備(給排気ファン)で構成されています。
2枚目の左側には給排気ファンのリレー回路(接触器・過負荷保護など)、右側にはPLC・調節計等の制御回路が配置されており、設備全体の制御システムを2枚で体系的に把握できる構成となっています。


ラダー図
ラダー図は、電磁リレー回路で用いられる接点とコイルの関係を、展開接続図の考え方に沿って「はしご状(ラダー状)」に配置し、制御の論理や動作条件を視覚的に表現する記述方法です。
展開接続図の表現はPLC(プログラマブルロジックコントローラ)にも取り入れられており、この形式でプログラムを組む手法が「ラダー方式」として用いられています。
以下の例では、換気設備(給排気ファン)の「自動運転条件」→「パターン運転選択」→「タイマ/カウンタによるパターン実行」→「グループごとの出力」という一連のシーケンスが記載されています。

まとめ
計装図面にはバルブ・ポンプ・計器など、多種多様な記号が使われます。これらの記号は、変量記号(何を測るか)と機能記号(どう動くか)の組み合わせで成り立っており、体系的に理解することで初見の記号でも意味を読み解きやすくなります。
また、図面の種類によって目的と記載内容は大きく異なるため、それぞれの役割を正しく把握することが、正確な図面の作成と読み取りには欠かせません。
記号と図面の両方を理解することで、設計・施工・保守といったあらゆる場面で適切かつ迅速な対応が可能となります。結果として、業務全体の質と効率の向上につながるでしょう。
本記事で紹介した以外の計装図面記号については以下の資料にまとめています。ぜひ以下からダウンロードしてご活用ください。
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一方、計装といえば大型施設向けのイメージが強いかもしれませんが、近年は人手不足や省エネ志向の高まりを背景に、中小規模施設においても計装ニーズが急速に拡大しています。ただし、中小規模の施設では予算や工期が限られるケースも少なくないため、省施工で導入できるシステムの選択が重要です。
たとえば、パナソニックの「Panasonic HVAC CLOUD」は、空調設備を自動制御できるクラウドベースのシステムで、複雑な工事を必要とせず、「空調設備へのアダプター取付」と「LTEルーターの設置」だけで導入できます。
AIが環境や操作パターンを学習して最適な自動制御を実現し、快適性を維持しながら空調消費電力量を約20%削減します(※)。
後付けで設置でき、消費電力量の可視化や遠隔管理による管理工数の削減にも貢献します。
空調設備の計装設計や自動制御の導入をご検討の方は、ぜひパナソニックまでお気軽にご相談ください。
※2022年6月〜9月に関東地方の物販店舗(約1000㎡)の2施設で検証。実際の省エネ効果は、使用環境等の条件により異なります