オフィスビルや商業施設で、空調が自動的に最適な温度を保っているのは、「空調計装」という技術のおかげです。本記事では、空調計装の基本的な概念から、なぜ今この技術が注目されているのか、その必要性について詳しく解説していきます。
空調における計装とは?
空調の計装とは、温度や風量、運転モードの変更など、従来は人の手で行っていた空調運用を自動化する技術のことです。センサーで取得したデータに基づいて空調を最適に制御することで、快適な室内環境を維持しながら効率的な運用を実現します。
以下では、空調計装の具体的な仕組みと、計装技術の幅広い活用について見ていきましょう。
空調計装の概要
空調計装は、具体的に以下のような仕組みで構築されています。
- センサーが温度や湿度などを計測
- 計測したデータを中央監視装置に取り込む
- 中央監視装置からの指令により空調の設定を制御
室内の温度や体感温度は、外気の流入、窓からの日射、OA機器の稼働、在籍人数(人体からの発熱)、湿度などにより常に変化します。
従来はこういった変化に応じてリモコンを操作し、手動で調整する必要がありました。計装を活用すれば、あらかじめ設定した温度や湿度になるよう、自動で調整してくれます。
個々の「暑い」「寒い」といった感覚に基づく運用ではなく、センサーで取得したデータに基づいた最適な制御を行います。
また、温度や湿度の管理だけでなく、ホテルでカードキーを挿すことにより空調・照明が使えるようになったり、オフィスで最終退勤時に自動で空調・照明がオフになったりするのも、計装の一例です。
計装は空調以外の設備にも活用されている
計装は「計測器(計器)を装備する」という語源のとおり、温度・圧力・流量などを計測し、そのデータに基づいて設備を自動で制御するための技術を指します。空調設備だけでなく、工場やプラント、インフラ施設など、多様な現場で使われており、効率的で安全な運用を支える基盤となっています。
例えば、製造プロセスの燃焼制御では、一定の火力を維持するために酸素供給量を自動調整する仕組みがあり、これも計装の一例です。
このように計装技術は、産業から社会インフラまで、幅広い分野で重要な役割を果たしています。
空調に計装技術を活用する必要性
近年、空調に計装技術を活用する必要性がますます高まっています。その背景には、深刻化する人手不足や、経費の上昇、設備トラブルへの対応といった課題があります。
以下では、空調計装が求められる3つの理由について詳しく解説していきます。
人手不足の解消
空調管理はこれまで、担当者が現場を定期的に巡回し、温度や湿度を確認しながら経験に基づいて設定温度や運転モード、風向きなどを調整する方法が一般的でした。
しかし、少子高齢化の影響で、特に中小企業では人手不足が深刻化しており(※1)、空調管理の知識や経験を持つ人材の確保は年々難しくなっています。
今後さらに高齢化の進行が見込まれることから(※2)、従来のように人が巡回して管理する方法を維持するのは現実的ではありません。とはいえ、限られた人員で運用せざるを得ない状況では、一人あたりの業務負荷も大きくなります。
こうした課題を解消する手段として、空調に計装技術を取り入れて自動制御を行うことが有効です。センサーを設置すれば現場巡回が不要になり、運転も取得したデータに応じて自動で調整されるため、管理業務の省力化につながります。
(※1)出典元:人手不足の深刻化と企業の対応|財務省
(※2)出典元:我が国の人口について|厚生労働省
経費上昇への効果的な対応策
近年は電気代の高騰、物価上昇による原材料費の増加、人材不足に伴う人件費の上昇など、企業を取り巻く経費が増大しており、特に中小企業への影響は大きくなっています。
利益を改善するには売上の増加か経費削減が必要ですが、なかでもエネルギーコストは継続的に発生する費用であるため、見直すことで経費の大きな節約につながります。
とりわけ空調は、建物全体のエネルギー消費の大部分を占めるため、経費削減の重点項目として取り組むべき分野です。

計装は室内外の温度や湿度といった実態に応じて自動制御するため、人の感覚に頼った運用では実現できない省エネ効果を生み出せます。また、これまで人の手で行っていた管理を自動化できるため、人件費の削減にもつながります。
こうして生み出されたコスト削減分をほかの省エネ施策に再投資することで、さらなる経費圧縮と環境負荷軽減を実現でき、企業経営の安定化にも寄与するのです。
運転停止によるトラブル防止
計装技術を取り入れれば、空調の運転停止につながる大規模な故障を未然に防げます。
例えば、消費電力量の推移が通常より明らかに増えている場合、内部部品の劣化や負荷の増大など、何らかの異常が発生している可能性を早期に察知できます。その段階で点検や修理を実施すれば、運転停止に至る前に対処可能です。
結果的に、空調停止による顧客からのクレーム、滞在時間の減少、従業員の集中力低下、さらには想定外の修理・交換費用の発生といったリスクの回避につながります。
まとめ
空調計装とは、センサーで取得したデータに基づいて空調を自動制御する技術です。人手不足の解消、経費上昇への対応、運転停止によるトラブル防止など、企業が抱えるさまざまな課題を解決する手段として注目されています。
オフィスビルや商業施設といった大規模な建物では、空調の自動制御を取り入れていることが一般的です。しかし近年では、省エネや環境配慮、人材不足の観点から、中小規模の施設でも空調を自動制御するケースが増えています。
とはいえ、中小規模の施設ではかけられる予算や工期が限られていることが多いため、省施工で導入できるシステムがおすすめです。
パナソニックの「Panasonic HVAC CLOUD」は、「空調設備へのアダプターの取付」と「LTEルーターの設置」だけでクラウドサーバーを通じて制御を行えるようになり、複雑な工事を必要としません。
導入いただくと、以下のような空調管理を任意のPCから行っていただけます。
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スケジュール設定 |
曜日ごと・30分単位で「運転のオンオフ」「運転モード」「設定温度」を設定できる機能。設定内容に応じて自動で運転が行われる。 |
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省エネ設定 |
あらかじめ設定した時間帯に空調を自動的に停止させたり、設定温度が変更されても一定時間後に元の温度に戻したりする。 |
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警報通知 |
異常の発生を自動で検知して管理者へ通知する機能。設備トラブルの見逃しを防ぐことができる。 |
これらの機能や運転のオンオフ、各種設定は、複数・多拠点の空調設備も任意のPCから一括管理できます。

加えて、AIが「物件」「気象」「時刻」「リモコン操作」などの情報を学習し、外気温や時刻の変化に応じて設定温度を自動調整する機能も搭載しています。
人による過度な温度の上げ下げを減らすことで、快適性と省エネを両立させながら従来の運用に比べて約20%の空調消費電力量を削減できます(※)。
空調設備の計装設計や自動制御システムの導入をお考えの方は、ぜひパナソニックにご相談ください。
「Panasonic HVAC CLOUD」のみならず、さまざまなソリューションをご提供しています。お客様のニーズに応じた最適なご提案をさせていただきます。
※1年間、関東地方の2つの異なる物販店舗(約1,000㎡)の施設で検証。「設定温度自動リターン」機能(一定時間で指定した温度設定に戻る機能)との比較