業務用エアコンは、事務所やビル、商業施設などの建物において、最も大きなエネルギー消費量を占める設備です。そのため、運転にかかる電気代の負担も大きく、年間を通じて見れば非常に高額になるケースも少なくありません。
そこでこの記事では、業務用エアコンの電気代の計算方法や、機種の選び方、電気代の削減に貢献するパナソニックの業務用エアコンを紹介します。
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業務用エアコンの電気代はどれくらい?
業務用エアコンの電気代は、機種の性能や設置環境などによって大きく変動するため、一概に「○○円」と断定するのは難しいものです。しかし、エアコンの消費電力をもとに計算すれば、ある程度の目安を把握することができます。
ここでは、業務用エアコンの電気代の求め方と、パナソニックの機種を使用した場合の具体例を紹介します。
業務用エアコンの電気代の求め方
業務用エアコンの電気代は、以下の計算式で求められます。
業務用エアコンの電気代=消費電力(kW)× 使用時間(h)× 電力量料金(円/kWh)
「消費電力」は冷房と暖房に分けてカタログに記載されています。
「使用時間」はエアコンの運転時間のことです。
「電力量料金」は電力会社によって異なりますが、家電公取協※によって目安単価は31円/kWh(税込)となっています。より正確な計算を行うなら、契約している電力会社の単価を確認しましょう。
※出典:よくある質問 Q&A|公営社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会
業務用エアコンの電気代の具体例
省エネ性能に優れたパナソニックのビル用マルチエアコン「UXPR5YR」を使用した場合の、1時間あたりの電気代は下表のとおりです。
馬力 |
1時間あたりの電気代 |
|
冷房 |
暖房 |
|
8馬力 |
177円 |
172円 |
10馬力 |
248円 |
241円 |
12馬力 |
273円 |
267円 |
14馬力 |
316円 |
326円 |
16馬力 |
360円 |
344円 |
18馬力 |
415円 |
403円 |
20馬力 |
431円 |
446円 |
22馬力 |
481円 |
481円 |
24馬力 |
530円 |
555円 |
26馬力 |
605円 |
598円 |
28馬力 |
592円 |
651円 |
30馬力 |
676円 |
667円 |
32馬力 |
716円 |
688円 |
34馬力 |
772円 |
747円 |
36馬力 |
834円 |
806円 |
[消費電力]カタログの定格消費電力を参考(Panasonicビル用マルチエアコン総合カタログ2025)
[使用時間]1時間
[電力量料金(円/kWh)]家電公取協による目安単価31円/kWh(税込)を使用(よくある質問 Q&A|公営社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会)
業務用エアコンは「馬力」という単位で能力が表され、馬力が大きいほど冷暖房のパワーも大きくなります。基本的には馬力が高くなるほど消費電力が増え、電気代も高くなります。
ただし、実際の電気代はエアコンの機種や省エネ性能、設置台数、電力会社との契約内容、設置環境、使用状況などによって変わるため、あくまで参考値としてご覧ください。
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電気代削減のための業務用エアコンの選び方
業務用エアコンの電気代削減のためには、適切な機種選定が欠かせません。
一方で、省エネルギー効果のみを求めると、容量不足などにより室内の快適性が損なわれてしまうこともあります。そこで、ここでは快適かつ省エネな空間を実現するための業務用エアコンを選ぶ際のポイントとして、以下の3点を紹介します。
- 業種は谷津熱機器の有無に応じて選ぶ
- APF値が高い機種を選ぶ
- センサー機能が搭載された機種を選ぶ
それぞれ見ていきましょう。
業種や発熱機器の有無に応じて選ぶ
業務用エアコンは、業種や発熱機器の有無に応じて、過不足のない馬力の機種を選びましょう。馬力が不足していると快適性が損なわれ、馬力が高すぎると無駄な電力消費につながります。
下表は、業種ごとに考慮するべきポイントをまとめたものです。
一般店舗 |
来店数や取扱商品 |
理容店・美容室 |
ドライヤーやパーマ機から出る熱 |
飲食店 |
調理時の熱 |
オフィス・事務所 |
パソコンやコピー機といったOA機器から出る熱、従業員数 |
クリニック |
送風の向きや室内湿度をコントロールできるセンサー機能の有無(体調不良の方などが集まる空間のため) |
動物関連施設 |
動物の種類や品種 |
介護施設 |
場所ごとに設定を変えられるか(高齢者は体温調節機能が低下するため) |
幼保/教育施設 |
室内温度を一定に保てる能力(ドアの開け閉めも少なく、人が過密になりやすいため) |
例えば、同じ広さの空間であっても、飲食店とオフィスでは必要とされる冷暖房能力が異なります。これは、人の出入りの多さや発熱する機器の有無、厨房設備などの影響を受けるためです。
業種別にまとめた馬力の目安や、選ぶ際のポイントついては、以下の記事でより詳細に解説しています。
APF値が高い機種を選ぶ
業務用エアコンを選ぶ際には、APF値にも注目してください。APF値とは、1年を通して一定の条件下でエアコンを使用した際の「消費電力量に対する冷暖房能力」を示す指標であり、省エネ性能を比較するうえで重要な目安です。APF値が高いほど、電力で効率よく冷暖房ができることを意味します。
機種選定の際は、省エネ法で定められた目標基準値を上回っているかを確認しましょう。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
センサー機能が搭載された機種を選ぶ
センサー機能が搭載された機種なら、室内の気温や人の活動状況を検知し、自動で効率的な運転を行ってくれます。ムダな消費電力を抑えつつ、快適な室内環境の維持に役立つでしょう。
業務用エアコンの使い方によっても電気代は変わる
適切な機種選定だけでなく、使い方の工夫によっても業務用エアコンの電気代は変わります。ここでは、電気代削減につながる使い方のポイントとして、以下の5点を紹介します。
- 常に人がいる場合はつけっぱなしにする
- 運転スケジュールを設定する
- 自動制御を導入する
- 定期的なメンテナンスを行う
- 夏は運転前に換気を行う
- サーキュレーターなどを活用する
- 省エネを意識した運転を行う
それぞれ見ていきましょう。
常に人がいる場合はつけっぱなしにする
「エアコンは、こまめに運転を停止するよりも、つけっぱなしにしたほうが節電になる」と耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。実際、エアコンは運転を開始してから室内を設定温度にするまでが最も多くの電力を消費します。
そのため、24時間営業の店舗や、人が頻繁に出入りする部屋などではつけっぱなしのほうが節電につながる可能性があるのです。ただし、つけっぱなしはその分だけ電気代がかかるため、長時間人がいない空間ではエアコンを停止しておくほうが節電につながります。
運転スケジュールを設定する
オフィスビルのように人の出入りが一定時間に限られる場合、営業時間が固定されている店舗、曜日や時間帯ごとに混雑状況がある程度予測できる店舗などでは、エアコンの使用時間や設定をスケジュール化することで、省エネ効果が期待できます。例えば店舗の場合、店内が空く時間帯になったら温度を上げるなどの工夫によって、無駄な電力消費を抑えることができます。
エアコンの機種によっては、曜日や時間帯ごとに運転開始・停止のタイミングや温度設定を自動で行えるタイマー機能が搭載されています。この機能を活用すれば、効率的な運用管理が可能です。
定期的なメンテナンスを行う
業務用エアコンはメンテナンスを怠ると、運転効率が低下し、余分な電力を消費して電気代が増加してしまうことがあります。そのため、取扱説明書を参考にしながら、フィルターなどの掃除を定期的に行いましょう。
ただし、エアコン内部のクリーニングは誤って故障させるリスクがあるため、専門業者に依頼することをおすすめします。
夏場は運転前に換気を行う
夏場にエアコンを使う際は、運転前に換気しましょう。エアコンは運転開始から室内を設定温度にするまでが最も多くの電力を消費します。そのため、夏場は室内に溜まった暑い空気を外に逃がし、室内温度とエアコンの設定温度の差を減らすことで、無駄な電力消費を抑えられるのです。
サーキュレーターなどを活用する
サーキュレーターや扇風機を活用すると、冷風や温風が部屋全体に均等に届けられるため、特定の場所だけ暑い・寒いと感じることがなくなります。その結果、業務用エアコンの効率が高まり、電気代の削減につながります。
省エネを意識した運転を行う
エアコンの設定によっても電気代は変わります。電気代を抑えられるエアコンの設定は以下の通りです。
- 風量を「自動」にする
「自動運転」は、室温が設定温度に達したあと、その温度を維持するのに必要な最低限の風量で運転を続けてくれる機能です。
常に一定の風量で運転する場合に比べ、ムダな電力を使わずに済むため、電気代の節約につながります。 - 設定温度を見直す
例えば、冷房を23℃で運転するよりも、28℃のほうが電力消費は抑えられます。
「冷房が冷え過ぎて寒い」「暖房が効きすぎて暑い」と感じる場合は、快適さを保ちつつ電力消費を抑えられる設定温度に見直しましょう。 - 設定温度を頻繁に変えない
エアコンは運転を開始してから室内を設定温度にするまでが最も多くの電力を消費するため、頻繁な温度の上げ下げは電力消費を増加させる可能性があります。
頻繁に変えなくても快適性を保てる温度設定に調整したり、サーキュレーターなどを活用して空気を部屋全体に循環させたりしましょう。 - 季節に応じて風向きを変える
空気の性質上、冷たい空気は下に、暖かい空気は上に溜まりやすいです。
そのため、冷房運転時は風向きを上向きにし、冷たい空気が上から下に循環するようにすると良いでしょう。
暖房時は下向きがおすすめです。
このように、エアコンの設定によって省エネを図ることが可能です。
自動制御を導入する
ここまでご紹介してきたように、営業時間や人の出入りに合わせてエアコンの運転や設定を管理することは、省エネに非常に効果的です。しかし、手動での管理は手間がかかり、特に大規模な施設では、複数の空調機器を1台ずつ調整するのは現実的ではありません。だからこそ、今や自動制御の導入は“当たり前”ともいえる選択になりつつあります。
例えば「Panasonic HVAC CLOUD」なら、AIが施設情報・利用者の空調設定・気象情報・時刻設定を学習し、外気温度や時刻に応じて自動で温度設定を調整します。これにより、人による過剰な温度下げを減らし、実施検証では1年間で約20%もの消費電力削減を確認しました。(※)
また、利用者が日常的に行っている空調設定をAIが学習するため、快適性を損なうことなく、無理のない省エネを実現できます。
さらに、「店舗A・店舗B・店舗C」のような複数拠点の空調も、ご自身のPCから遠隔での一括管理が可能です。効率的かつ効果的、そして快適な空調管理をめざすなら、「Panasonic HVAC CLOUD」の導入をぜひご検討ください。
(※)1年間、関東地方の2つの異なる物販店舗(約1,000m2)の施設で検証。「設定温度自動リターン」機能(一定時間で指定した温度設定に戻る機能)との比較。
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電気代削減に寄与するパナソニックの業務用エアコン
Panasonic HVAC CLOUDを活用すれば、空調の運用を最適化することによって電力消費を抑えることができます。しかし、省エネ効果をさらに高めるには、空調の“使い方”だけでなく、“機器そのものがどれだけ電力を使うか”にも目を向ける必要があります。
パナソニックの業務用エアコンは、以下の3つの機能により、快適な空間を保ちながら効率的な電気代の節約を実現しています。
- 常活動量に応じた自動運転
- 人の動きに合わせた気流調整
- サーキュレート機能による空気ムラの防止
ここからは、これらの機能を備えた機種を紹介します。
【ビル用マルチエアコン】UXPR5YRシリーズ
UXPR5YRシリーズは、省エネ性能を大幅に強化したビル用マルチエアコンです。パナソニックの先進技術を凝縮した同モデルは、8~16馬力において従来機種と比較してAFP値を最大で15%も向上させています。ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)認証にも貢献します。
また、既設配管の再利用ができるため、業務用エアコンの更新にかかるコスト削減も可能です。
【オフィス・店舗用エアコン】XEPHY Premium(ハイグレードタイプ)
XEPHY Premium(ハイグレードタイプ)は、全能力帯で業界トップクラスの省エネ性を実現したオフィス・店舗用エアコンです。筐体から見直し、各要素技術の最適化を図ることで、全機種において従来機種を上回るAPF値を達成しました。
また、設置環境に応じて4方向天井カセット形、天井吊形、壁掛け型など全12種類の室内機との組み合わせが可能です。
まとめ
業務用エアコンの電気代は、エアコンの機種や省エネ性能など、さまざまな条件で変動しますが、おおまかな目安はカタログに記載されている消費電力から計算が可能です。
業務用建物において、業務用エアコンは最も大きなエネルギー消費を占める設備であり、その割合は建物全体の約4割~5割と、電気代の影響も大きいのです。業種などに応じた適切な機種選定と、ムダなエネルギーを使わない運転により消費電力を抑え、ランニングコストの削減につながります。
パナソニックでは、お客様のニーズに適した業務用エアコン、効率的な運転を可能にするシステムのご提案が可能です。なかでも「Panasonic HVAC CLOUD」は、業界初(※1)のAI省エネコントロール機能により、空調機の消費電力量を約20%削減した実績(※2)があります。複数拠点の一括管理も可能なため、運用管理の効率化にも役立ちます。
電力コストの見直しや空調管理の効率化をされている方は、パナソニックにぜひお気軽にご相談ください。
業務用エアコンの電気代削減に向けて、適切な機種選定と運用方法を検討し、快適性と経済性を両立させましょう。
(※1)空調機業界において、当社調べ(2023年3月8日時点)
(※2)2022年6月~9月に関東地方の物販店舗(約1000 m2)の2施設で検証。実際の省エネ効果は、使用環境等の条件により異なります。
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