9月 9, 2025
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空調の一括管理とは?メリット・デメリットや適したケースを紹介

現代のオフィスビルや商業施設において、空調システムの効率的な運用は重要な課題です。

特に、複数の空間を持つ建物では、個別に空調を管理するよりも一括で管理した方が、エネルギー効率や運用コストの面でメリットがあるケースが多く見られます。

本記事では、空調の一括管理の仕組みや、メリット・デメリット、個別の空調を一括で管理する方法などについて解説します。

 

 

空調の一括管理とは

空調の一括管理は、空調システムの管理方法のひとつです。建物全体の空調を一箇所でコントロールすることで、エネルギーの効率向上や、運用コストの削減を図れます。

ここでは、空調の一括管理の基本的な仕組みと、もう一つの管理方法である個別管理との違いについて、詳しく見ていきましょう。

空調の一括管理の仕組み

空調の一括管理とは、建物全体の空調を一箇所でコントロールする空調方式のことです。

業務用空調として代表的なものは、オフィスビルや商業施設などの建物に設置する「セントラル空調方式(中央空調方式)」です。


■セントラル空調方式(中央空調方式)の仕組み


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セントラル空調方式(中央空調方式)は、一箇所に集約した冷凍機やボイラーなどの熱源機から、建物に張り巡らされた水配管を通して冷温水を各フロアの空気調和機に送り、空気と熱交換することで冷風や温風を室内に吹出します。

また、詳細は後述しますが、業務用空調機においては、「集中管理コントローラー」や「中央監視システム(BEMS)」といったシステムを用いて、個別空調を一括で管理する方法もあります。


個別に設置する空調との違い

個別に設置する空調では、部屋やフロアごとに独立した空調設備を設置・管理します。そのため、運転のオン・オフや、温度設定も、各部屋ごとに行えるのがメリットです。ただし、部屋ごと、フロアごとのシステムが独立しているため、メンテナンスにコストがかかる点などがデメリットです。

一方、一括管理システムでは中央で統一的に制御するため、施設全体の温度を均一に保てます。システムが一箇所にまとまっているため、メンテナンスのコストを抑えられるのもメリットです。ただし、部屋ごと・フロアごとの細かな設定は制限される場合があります。

■個別に設置する空調


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空調の一括管理のメリット・デメリット

空調の一括管理システムを導入する際は、そのメリットとデメリットを理解したうえで検討することが重要です。建物の用途や規模、利用者のニーズによって、一括管理が適している場合とそうでない場合があります。

ここでは、セントラル空調方式(中央空調方式)を例として、個別空調方式と比べた場合のメリット・デメリットについて、それぞれ見ていきましょう。

セントラル空調方式(中央空調方式)のメリット・デメリット

セントラル空調方式(中央空調方式)のメリット・デメリットは、オフィスビルや商業施設といった大規模な建物が主な設置場所となる性質上、設計の自由度や工数、メンテナンスコストといった構造的・運用的な観点が中心です。

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メリット


  • 建物全体の温度を均一に保てる
    建物全体の温度を均一に保つため、温度差のない快適な空間を維持できます。

  • 設計の自由度が高い
    水配管を設置できる長さや高低差に制限がなく、高層ビルや商業ビルなどの大規模な建物でも対応できます。

  • 静音性に優れている
    熱源機を地下などに設置するため、稼働中の音がほぼ気になりません。

  • 個々の機器を設置するスペースが不要
    部屋やフロアごとに空調設備を設置する必要がないので、そのスペースを有効活用できます。
    建物の美観も損なわれません。

  • メンテナンスコストを抑えられる
    部屋やフロアごとに設備が設置されている個別空調とは違い、熱源機が一箇所に集約されているため工数が少なく済み、メンテナンスコストを抑えられます。

 

デメリット


  • 設計の工数がかかりやすい
    柔軟な設計が可能である一方で、設計負荷が増すという側面もあります。

  • システムによっては細かな運転・設定ができない
    基本的に一括管理されているため、各部屋やフロアごとにユーザー自身で自由に温度を調整したり、空調をオン・オフすることができません。ただし、個別制御機能を持たせられる機器を設置することで、ある程度の個別制御は可能になります。

  • 故障すると建物全体に影響が出る可能性がある
    熱源機を一箇所に集約する形になるため、故障すると建物全体の空調機能が停止してしまう可能性があります。定期的なメンテナンスで突発的な故障を防ぎましょう。

  • 故障した場合の修理費が高くなりやすい
    メンテナンスコストは抑えられるものの、修理費は高くなりやすいという特徴があります。

  • レイアウトの変更などに柔軟に対応することが難しい
    空調が建物全体に設計されている関係上、間取りの変更などが発生した際には空調システムも再設計・再工事が必要となります。

 

 

 

個別の空調を一括で管理する方法はある?

「既に導入している空調を一括管理に入れ替えるのは現実的ではない」「個別の空調を一括で管理する方法はないの?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。

実際に、大がかりな工事を伴うセントラル空調への切り替えは、コストや工期の面で現実的ではないケースも多くあります。

ここでは、個別の空調を一括で管理する方法について紹介します。

 

システム導入により個別空調を一括管理することは可能

個別空調でも、「集中管理コントローラー」や「中央監視システム(BEMS)」といったシステムを設置することで、空調の一括管理が可能です。中規模・小規模の建物であれば、セントラル空調の導入よりも既存の空調機を活かすことができるこちらの方法が適しているケースも少なくありません。

個別の空調を一括管理する形式であるため、セントラル空調に比べて導入費用を抑えやすく、各部屋やフロアごとの調整もしやすいという利点があります。

後付け設置が可能なものであれば工事が短時間で終わります。省エネに寄与する機能が付帯しているものであれば、空調の人的な管理コスト削減だけでなく節電によるコストカットも期待できるでしょう。

Panasonic HVAC CLOUDなら、複数拠点含む空調の一括管理と省エネを実現

個別の業務用空調を一括管理するおすすめのシステムとして「Panasonic HVAC CLOUD」を紹介します。

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「Panasonic HVAC CLOUD」では、部屋・フロアごとに設置された空調を、任意のPCから遠隔操作で管理することができます。リモコン遠隔設定や設定状態の表示、切り忘れ防止管理など多機能を付帯しています。

また、複数棟・多店舗の空調を一括管理でき、店舗A・店舗B・店舗Cといった複数拠点にある建物の空調を遠隔で管理することが可能です。わざわざ現地に出向く必要がないので、管理工数を大幅に削減できるでしょう。

さらに、施設情報・利用者のリモコン操作・気象情報・時刻情報をAIが学習し、外気温や時
刻に合わせて設定温度を自動制御する「AI省エネコントロール」機能も備えています。部屋・フロア・拠点ごとに異なる実態や特性に応じた運用により、快適性と省エネ性を両立可能です。

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既設の空調設備にアダプターとLTEルーターを設置するだけで導入できるため、即日に設置が完了します。安価なイニシャルコスト&営業停止期間不要で、手軽に導入可能なので多店舗や小中規模の施設にも導入しやすいのが特長です。

具体的な機能や費用について、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

空調の一括管理とは、建物全体の空調を一箇所でコントロールできる空調方式を指します。業務用空調としては、オフィスビルや商業施設などに導入される「セントラル空調方式(中央空調方式)」が代表的です。

セントラル空調方式は大規模な建物向けで、設計の自由度やメンテナンス効率に優れている一方、初期コストや柔軟性に課題があります。大規模な工事を伴うセントラル空調への切り替えは、コストや工期の面で難しい場合もあるでしょう。
そうした点を踏まえると、特に中規模・小規模の建物であれば、既存の個別空調を活用した一括管理も選択肢です。

例えば「Panasonic HVAC CLOUD」のようなシステムを導入することで、複数拠点を含む空調の遠隔管理とAIによる省エネ制御を実現できるでしょう。

 

空調の一括管理を検討する際は、建物の特性や運用ニーズに合わせて最適なシステムを選択することが重要です。